9/26(土)
・第三回山梨狩猟者交流会
恒例の狩猟者との交流会を行いました!
ワナの見学の様子
今回はお二人の狩猟者の方々にお話を伺ったのですが、
”普通ならば絶対に聞くとこはできない貴重な知恵、経験”
を惜しみなく狩り部メンバーに伝えてくださり、感謝するとともに、
私たち自信、強烈的かつ刺激的なインプットを得ることができたと感じています。
お一人目は、藤巻先生(数々の実績・経歴を持つ長年の狩猟実践者)のお話です。
以下、具体的な質疑応答の簡潔なまとめを掲載しておきますので、
ご覧になられた方のお役に立てればと思います。
藤巻さんが開発されたという伝説の箱ワナ
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生態学
Q.「どうしたら、どうしたら生きる獣の数を正確に把握できるのでしょうか?」
A.資金があるならば、通常はレーダーやカメラなどの機械を用いて測定する。
もし予算がなければ、山道の足跡を計測していた。熊は計測が容易。
しかし、足跡では100%計測することはできない。
Q.「草がほとんど生えていないところで、シカはいったい何を食べて生きているのでしょうか?」
A.樹皮を食する。樹皮は甘い。したがって甘い木のみを、シカは好んで剥ぎとっていく。
Q.「全国的にシカやイノシシを駆除していますが、それが成功して数が減ったときに、困ることがあれば教えてください。」
(狩猟者としての視点、自然のバランスという視点など)
A.
Q.「シカやイノシシが山をくだり、田畑を荒らすようになったのはなぜだと思われますか?」
A.人間がスギを大量に植林したから。スギを植えると低木(ササなど)が育たない。
したがってササを主な餌としているシカは食料を求めて山を降りてくるようになったのだ。
昔はスギだけでなく、ヒノキも混在させて森林は成り立っていた。
狩猟者
Q.「若い人が狩猟をしなくなったのは、なぜだと思われますか?」
A.一つには、都会へ若者が流出してしまったからである。
もう一つは、家庭の教育の変化が挙げられる。昔は、自給自足が基本であり、
先輩から後輩へ、また親から子へと生活の仕方(狩猟方法含む)が継承されていた。
それが今では失われてしまったのだ。
Q.「狩猟者と一括りにされているなかにも色んな人がいると思いますが、どんな人がどのくらいの割合でいるのでしょうか?」
例(銃:わな、遊び:職、単独:グループ、猟友会:非会員)
A.狩猟を遊びで行っている人はいない。
お金がかかるし、手続きも非常に煩雑だからである。
銃猟を行うものと、罠猟を行うものは、だいたい半々であり、ほとんどの狩猟者は猟友会に所属している。
かつては銃猟がほどんどだった。
マタギは少なくなってしまった。
昔の様子
Q.「○○○○でのシカによる樹皮剥ぎは、昔はなかったのでしょうか?」
A.昔からシカによる樹皮剥ぎは行われていたが、現在ほど顕著ではなかった。
Q.「昔のほうが、雪が多く降ったと聞きますが、豪雪でシカが死ぬ現場を見たことがありますか?」
A.八ヶ岳でシカが大量に死んでいるのを見たことがある。
しかし、イノシシは土を掘って食べ物を探すことができるので、雪が降っても大抵生き延びる。
Q.「北海道のシカはなぜ冬も生き延びることが可能なのか?」
A.北海道ではところどころに温泉が点在し、雪が解けている。
また、シカの餌であるササの木の高さが高いため、雪で覆われることがない。
猟友会
Q.「分会という単位を廃止し、支部という単位に組み替えることについてどう思われますか?」
A.市町村別に支部が分かれているが、統合するのは難しい。
・狩りだけでなく、射撃の練習をもっと行うほうが良い。
・若い人たちも狩猟を行えるような体制が必要。
そのためには法律も改正していかなくてはならない。
Q.「分会がもつ縄張りが、駆除を非効率なものにしているように思われますが、今後どうしていけば良いと思いますか? 」
A.お互いのテリトリーを守りつつ、尊重もし合えるような精神を持つこと。
例)相手の縄張りに入るときは、断っておく。
あらかじめ山に入る曜日を決めておく。
狩猟
Q.「シカやイノシシのおいしい時期、処理法、料理法を教えてください。」
A.シカは夏でも美味。だが、イノシシは夏はマズイ。
肝要なのは、しとめた後にすぐ冷やすこと。血を抜くこと。
屠殺場を見学すると、勉強になる。
また、シカやイノシシの油は、薬品や調理油になるので重宝する。
Q.「山梨では猟犬へのこだわりが強いように見えるのですが、なぜでしょう?」
A.「1足、2犬、3鉄砲」といわれるぐらい、猟犬は重要である。
一匹を子犬から仕込むのに3年はかかる。
Q.「山梨の自然保護団体は、猟友会や狩猟者と対立してきませんか?」
A.話し合えば、折り合いをつけることは可能である。
将来の狩猟者像
Q.「海外にある、よく出来た狩猟制度をご存知でしたら教えてください」
A.(アメリカ)獲物をとる際には、あらかじめ前払い金を払うシステムが存在している。
また、銃の免許はなく誰にでも扱うことが可能である。
(オーストラリア)必ず、案内人・ガイドがつくことが必要となる。
Q.「銃を持っているだけの万年初心者が、"獲れる"狩猟者になるためにはどうしたら良いのでしょう?
」
A.月1回は射撃場に行き、研鑽を積んで欲しい。
コツは、「目・照門・照星・目標」の4点が一直線上になるように注意すること。
また、引き金は「引く」のではない。親指で「絞る」感覚で打つと良い。
単独猟のときは、犬を使う。
それ以外にも山に入り、動物の習性を細かく調査してみることが大事。
その他
・狩猟のきっかけ
⇒父親が冬季に狩猟を行っていた。その流れで自然と空気銃を持つようになり、
狩猟を行うようになっていった。夏季には農業を営んでいた。
・狩猟を行っていた理由
⇒戦時中・戦後は食糧不足でたんぱく質が不足。したがって、猟で獲る獲物は貴重なタンパク源であった。
【最後に】
数十年後には、日本の食糧事情は間違いなく悪化していることだろう。
日本の自給率は、35~40%といわれているが、野放しにしておいてはいけない。
これからの日本の未来のためにも、子どもを増やし、教育を整備し、また自然について
学んでいけるような環境づくりを目指してほしい。
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また現役猟師さんである、羽田さん(狩猟.COM設立者)にもお話を聞く機会をいただけました!
猟師の醍醐味、村の文化や猟犬へのアツい思いを語っていただき、
気づくと、あっという間に時間オーバーとなってしまいました。
聞いた内容をまとめようとメモをしたのですが、真剣な話に引き込まれ、
いつも間にか指が止まっていました。
どんなことであれ、経験をベースにして語られた言葉には重み・感情が
空気を伝わり、私たちの心臓にまで届くのです。
狩猟のありかたについて、別の視点から改めて考えさせられました。
藤巻さん宅近くの木
今後、私たち狩り部が活動を行い、実践を通して、感じたことや経験したことをまとめ、
体系化し、アウトプットし、広めていくという役割を果たしながら
社会との関わりを深めていくことになっていくと感じています。
私たち狩り部は、
今後更なる、活動を展開していく予定を立てております。
興味・関心のある方は、是非
連絡先: followhunting@yahoo.co.jp
(迷惑メール対策のため、"@"マークが全角になっております。
@マークは半角に直してメールをお送りください。)
までご連絡ください。
メーリングリストだけでも登録していただきますと、
最新の活動情報をキャッチできますので、
ご希望の時に参加・お話を聞くことができるかと思います。
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